Macでもゲームはできます。Linuxよりはできないけど。
そもそもKegworksってなんぞや
Wineという、Linux等のUNIX系OS上でWindows用アプリケーションを動かすソフトウェアがあります。 最近(2022年は最近です)話題のSteam Deckに搭載されている、ProtonというソフトウェアもこのWineの改造版です。
このWineというソフトウェアは有志によって支えられているのですが、その中にCodeWeaversという会社があります。 そのCodeWeaversが販売しているWineの改造版がCrossOverです。実はLinuxにおいては無改造のWineで十分に事足りてしまうのですが、macOSにおいては多少の障壁がある都合でCrossOverが有力な選択肢となっています。
そんなCrossOverですが、Wineのライセンスの都合上、コアの部分はオープンソースとして配布されています。 そこで、CrossOverのコアに独自のGUIをつけ、有志が無料で配布しているのがKegworksというわけです。過去にはWhiskyという他のプロジェクトもあったのですが、2025年の5月をもって開発が終了してしまったため、macOSで、無料でWindowsアプリケーションを動かしたい場合にはほぼKegworks一択というのが現状です。
インストールしよう
.app
や.dmg
、.pkg
形式での配布はされていないため、インストールにはHomebrewかMacPortsが必要です。
ここではHomebrewを使用します。インストールされていない場合はここからダウンロードするか、その辺に転がっているインストールガイドを参照してください。
Homebrewのインストールが完了したら、
brew install --cask --no-quarantine Kegworks-App/kegworks/kegworks
でKegworksをインストールできます。
初期設定をしよう
インストールが完了すると、"Kegworks Winery"というアプリケーションが増えているはずなので、起動します。
![[blog/2025-06-17_16.47.05]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.47.05.jpeg)
"+"ボタンを押します。
![[blog/2025-06-17_16.47.26]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.47.26.jpeg)
![[blog/2025-06-17_16.47.55]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.47.55.jpeg)
ドロップダウンはいじらず、そのまま"Download and Install"→"OK"と押します。
![[blog/2025-06-17_16.49.19]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.49.19.jpeg)
![[blog/2025-06-17_16.49.35]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.49.35.jpeg)
しばらく待つと元の画面に戻ってくるので、"Update Wrapper"→"OK"と押します。
![[blog/2025-06-17_16.49.54]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.49.54.jpeg)
![[blog/2025-06-17_16.50.12]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.50.12.jpeg)
そうしたら、"Create New Blank Wrapper"を押し、適当な名前(ここでは"Steam"としました)を設定し"OK"を押します。
![[blog/2025-06-17_16.51.39]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.51.39.jpeg)
しばらく待つと上記のような画面になるので、"OK"を押したら初期設定は完了です。
Steamをインストールしよう
ここまで終わると、さきほど名付けた名前のアプリケーションが増えているので、開きます。
![[blog/2025-06-17_16.53.48]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.53.48.jpeg)
ここで様々な設定を変更することができるのですが、ここでは"Direct3D to Metal translation layer - (D3DMetal)"にだけチェックを入れておきます。
その後、"Winetricks"を押します。
![[blog/2025-06-17_16.55.41]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.55.41.jpeg)
![[blog/2025-06-17_16.55.55]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_16.55.55.jpeg)
ここで、apps
の中のsteam
、fonts
の中のcjkfonts
とcorefonts
にチェックを入れ、"Run"→"Yes"と押します。
![[blog/2025-06-17_17.03.35]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_17.03.35.jpeg)
しばらく待機し、上記のような表示になればOKです。"Close"を押して元の画面に戻ります。
![[blog/2025-06-17_17.04.59]](https://syobon.net/img/blog/2025-06-17_17.04.59.jpeg)
最後に、"Windows app:"の欄をC:\Program Files (x86)\Steam\steam.exe
に変更すればSteamのインストールは完了です。
一度ウィンドウを閉じ、再度開き直すと、しばらく時間がかかった後Steamのログイン画面が表示されるはずです。
デフォルトのままだと言語設定が英語になっているので、必要に応じ設定から言語を変更してください。
ゲームを遊ぼう
あとはWindowsと同様にSteamを操作すればOKです。
一部ゲームは特別な設定等をしないと動作しなかったり、動作が重たかったりする場合があります。何か問題が発生した場合は、冒頭で述べたCrossOverの利用者による報告がまとめられた互換性データベースを確認してみると、対処法等が書いてある場合があります。また、Linux上のSteamユーザーによる報告がまとめられたProtonDBも参考になる場合があります。
私が遭遇した問題で言うと、一部のアプリケーションはVSyncを有効にしないと描画がカクつくことがありました。
おわり
Kegworksを利用することで、かなりの数のWindowsアプリケーションをmacOS上で動作させることができます。Steam以外のアプリケーションを動かしたい場合、"Kegworks Winery"から"Create New Blank Wrapper"で新しいラッパーを作成し、設定してください。
また、金銭面に余裕があれば、冒頭で述べたCrossOverの購入も検討してみてください。問題が発生したときのサポートが手厚い他、実質的なWineへの資金提供となるため、Wineそのものの安定性向上に貢献できます。