Sikarugirを使ってMacでもゲームをしよう
2025/09/03追記:
気がついたらKegworksがSikarugirに名称変更していたので、それに合わせて記事内容を変更しました。 画像は差し替えていないため一部"Kegworks"表記が残っていますが、適宜読み替えてください。
そもそもSikarugirってなんぞや
Wineという、Linux等のUNIX系OS上でWindows用アプリケーションを動かすソフトウェアがあります。 最近(2022年は最近です)話題のSteam Deckに搭載されている、ProtonというソフトウェアもこのWineの改造版です。
このWineというソフトウェアは有志によって支えられているのですが、その中にCodeWeaversという会社があります。 そのCodeWeaversが販売しているWineの改造版がCrossOverです。実はLinuxにおいては無改造のWineで十分に事足りてしまうのですが、macOSにおいては多少の障壁がある都合でCrossOverが有力な選択肢となっています。
そんなCrossOverですが、Wineのライセンスの都合上、コアの部分はオープンソースとして配布されています。 そこで、CrossOverのコアに独自のGUIをつけ、有志が無料で配布しているのがSikarugirというわけです。過去にはWhiskyという他のプロジェクトもあったのですが、2025年の5月をもって開発が終了してしまったため、macOSで、無料でWindowsアプリケーションを動かしたい場合にはほぼSikarugir一択というのが現状です。
インストールしよう
.app
や.dmg
、.pkg
形式での配布はされていないため、インストールにはHomebrewかMacPortsが必要です。
ここではHomebrewを使用します。インストールされていない場合はここからダウンロードするか、その辺に転がっているインストールガイドを参照してください。
Homebrewのインストールが完了したら、
brew install --cask --no-quarantine Sikarugir-App/sikarugir/sikarugir
でSikarugirをインストールできます。
初期設定をしよう
インストールが完了すると、“Sikarugir Creator"というアプリケーションが増えているはずなので、起動します。

“+“ボタンを押します。


ドロップダウンはいじらず、そのまま"Download and Install”→“OK"と押します。


しばらく待つと元の画面に戻ってくるので、“Update Wrapper”→“OK"と押します。


そうしたら、“Create New Blank Wrapper"を押し、適当な名前(ここでは"Steam"としました)を設定し"OK"を押します。

しばらく待つと上記のような画面になるので、“OK"を押したら初期設定は完了です。
Steamをインストールしよう
ここまで終わると、さきほど名付けた名前のアプリケーションが増えているので、開きます。

ここで様々な設定を変更することができるのですが、ここでは"Direct3D to Metal translation layer - (D3DMetal)“にだけチェックを入れておきます。
その後、“Winetricks"を押します。


ここで、apps
の中のsteam
、fonts
の中のcjkfonts
とcorefonts
にチェックを入れ、“Run”→“Yes"と押します。

しばらく待機し、上記のような表示になればOKです。“Close"を押して元の画面に戻ります。

最後に、“Windows app:“の欄をC:\Program Files (x86)\Steam\steam.exe
に変更すればSteamのインストールは完了です。
一度ウィンドウを閉じ、再度開き直すと、しばらく時間がかかった後Steamのログイン画面が表示されるはずです。
デフォルトのままだと言語設定が英語になっているので、必要に応じ設定から言語を変更してください。
ゲームを遊ぼう
あとはWindowsと同様にSteamを操作すればOKです。
一部ゲームは特別な設定等をしないと動作しなかったり、動作が重たかったりする場合があります。何か問題が発生した場合は、冒頭で述べたCrossOverの利用者による報告がまとめられた互換性データベースを確認してみると、対処法等が書いてある場合があります。また、Linux上のSteamユーザーによる報告がまとめられたProtonDBも参考になる場合があります。
私が遭遇した問題で言うと、一部のアプリケーションはVSyncを有効にしないと描画がカクつくことがありました。
おわり
Sikarugirを利用することで、かなりの数のWindowsアプリケーションをmacOS上で動作させることができます。Steam以外のアプリケーションを動かしたい場合、“Sikarugir Creator"から"Create New Blank Wrapper"で新しいラッパーを作成し、設定してください。
また、金銭面に余裕があれば、冒頭で述べたCrossOverの購入も検討してみてください。問題が発生したときのサポートが手厚い他、実質的なWineへの資金提供となるため、Wineそのものの安定性向上に貢献できます。