ウェブメディアを立ち上げた話
この記事は、『しょぼねこ Advent Calendar 2025』最終日の記事です。
11月の頭、ケルパンカというウェブメディアを立ち上げました。今回はその裏話というか、そもそもケルパンカってなんやねん、みたいなところを話していこうかなと思っています。
SyoBARってなんやねん
ケルパンカの話をする前に、まずは運営母体であるSyoBARについて話しましょう。本邦初公開。
ことのはじまり
事の起こりは2018年にまで遡ります。SyoBAR(の元となったDiscordサーバー)は当初、とあるYouTuberの非公式ファンサーバーという形で誕生しました。公式のDiscordサーバーが盛り上がる中、よりoff-topicな内容も話したいという気持ちで作成したのが始まりです。
非公式ながらもほぼ公認というような立場で成長していく一方、徐々に公式サーバーとの空気感の違いが明確になっていきます。特に顕著になったのは参加にYouTubeメンバーシップを要する第二の公式サーバーが誕生してからで、大人メンバーが集まる第二公式サーバー、学生メンバーが集まる非公式サーバー、両者の交流の場としての第一公式サーバーというような棲み分けが形成されていました。その後、第一公式サーバーは徐々に過疎化し、ついにはスパムの発生により消滅。公式サーバーと非公式サーバーとの繋がりはほぼ途絶え、このころには「ファンコミュニティ」としての面影もなくなっていました。こうして生まれたのが“SyoBAR”です。2020年のことでした。一応言っておくと、命名者は私ではありません。念のため。
「なにかやろう」ムーブメント
その後も雑談用サーバーとしてゆるく存続していくものの、公式サーバーからの流入がなくなりメンバーが固定化、固定化したメンバーも活気ある中高生から大学生や社会人に成長していき、徐々にかつてのような盛り上がりは失われていきます。もちろん、ゆるく静かに、というのもコミュニティのあり方の一つではあるのですが、ファンコミュニティという性質を失ったSyoBARには、コミュニティの存続に必要な「共通の話題」というものが決定的に不足していました。
共通の話題がないなら作ればいい、という意識があった……かというとそんなことはない気がするのですが、ともかくここから「みんなでなにかをやろう」という企画が生まれていくことになります。
……お察しの方も多そうですが、しかしこれがまあうまくいかないんですね。2021年、とりあえずで作成した共同YouTubeチャンネルは作っただけで終わりそこから2年近く放置。2022年、「みんなでゲームを作ろう」といって始まったプロジェクトは、最初のうちは様々なことがスムーズに決まっていったものの、いざ作り始めるとそれはそれは足並みが揃わない。あ、シナリオだけはそこそこできていたはずなので、もしかすると編集されてケルパンカに上がるかもしれません。2023年、YouTubeチャンネルの存在を思い出し、なにかしようという話に……なっただけで特に何も起きることなく再び忘れられていきます。
『ケルパンカ』誕生
そして2024年10月。SyoBARメンバーは、YouTubeチャンネルの存在を思い出します(1年ぶり2度目)。3度目のこのときは、本気度が1段階違いました。どういうジャンルの動画を出そうとか、動画のスタイルはどんなのがいいとか、このチャンネルは参考になるんじゃないかとか、メンバーカラー決めとこうとか、かなり話が進んでいきます。なんと、実際に企画を作ってみて実行するところまで進みました。が。企画が立つ速度に対して実行が追い付かない。というか、そもそも編集する暇がある人間がいない。今回もだめそう。
でも、せっかくここまで議論を重ねたんだし、企画も実行できていないだけでいろいろ挙がっている。これをなにかに流用できないだろうか。そんなことを常に考え続けていたなんてことはもちろんないのですが、2025年10月、「動画が無理なら、文字にすればいいんじゃね?」という発想に至ります。動画はまず撮影が大変。編集も大変。でも文章なら。良い文章はプロにしか書けなくても、駄文で良いなら誰でも書ける。そもそもかの有名なQuizKn○ckだって、最初はテキストベースのウェブメディアから始まったんだし。……そんな内容をSyoBAR内に投げてみたところ、わりと前向きな反応が返ってきます。そこからはスムーズでした。毎回アイデア出しはスムーズに進む。ドメインはどうしよう、そもそもサイト名はどうしよう、サイトのレイアウトはああでもないこうでもない、そんな議論が急ピッチで進められ、10月末にはおおよそ公開できる準備が整っていました。そして、2025年11月3日、ウェブメディア「ケルパンカ」が誕生した、という流れです。
ケルパンカってなんやねん
もう一つ、サイト名の『ケルパンカ』って何、という話もしておきましょう。本邦初公開。
ウェブメディアを作ろうという議論の中で、サイト名決めは特に難儀しました。当初は"SyoBAR"でいいんじゃないか、という話だったのですが、私があまり気に入ってないんですよね。たまたま私が管理しているというだけで名前を冠してしまうのもなにか違う気がするし、なにより仮名で書いたときのダサさが好きではありません。なんやねん「ショバー」て。
そんなわけで代替案を考えることになるのですが、これがひたすらに迷走。議論中に挙がった名前としては「はきだめ」「ブニヨブク」「右心房ズ」「わたらー団」「オドビドヸョヴザゥケマヶ」「キイェテサンタカル」などがありました。何???
行き詰まりかけましたが、SyoBARにはエスペラントのオタクとロジバンのオタクがいるので、その方向を検討することに。「遊び場」を表す単語はどうか、ということでen→jbo辞書で“playground”を引いてみると、“kelpanka” (x1は、x2という団体によって管理される遊び場である)と“plavzabu” (x1は、x4に囲まれた、x3を含む設備を有する、x2を含む人々のための遊び場である)がヒット。瞬間、「“kelpanka”よいのでは?」という空気が生まれ、それまでの迷走はなんだったのかというほどすんなり決定。念のため他の言語で変な意味にならないかを調べ、なにやらヒットしないこともないがあまり影響はなさそうという結論になりました(なお、@kelpankaのハンドルを持つ𝕏アカウントの存在に気付くのはずっと先のことです)。
ということで、「ケルパンカ」というのはロジバンで「遊び場」という意味の単語(より正確には「遊び場である」という意味の単語)である、というのが答えです。
今後
現状、ケルパンカには10件の記事が投稿されています。見てわかる通り、各記事には一貫性がなく、バラバラです。これはケルパンカとしての方針というよりは私の願望なのですが、このまま記事の多様性が増し続けて、掘ればなんでも出てくるようなサイトになったらいいなあ、と思っています。そのためにはいろんなメンバーに記事を書いてもらいたいのですが、いまのところ10件のうち半数の5件が同一人物による記事とかなり不安な状態。提案時に「面白そう、書くかも」と言っていたメンバーはいっぱい居たので、有言実行してほしいところです。
ともかく、せっかく誕生したウェブサイトなので、可能な限り続いてほしいですし、続けていきたいと思っています。よければ暖かい目で見守ってやってくださるとうれしいです。
最後に少しだけ裏話。現在、ケルパンカのビルドに使用するSSGをHugoからSoupaultに変更する計画が進行中です。上手くいったらまた別の記事として公開するかもしれません。
と、いうわけで、『しょぼねこ Advent Calendar 2025』最終日の記事でした。2時間くらいで書き上げたのでなんとなく雑な感じがありますが、まあ良いでしょう。みなさま、良い年末をお過ごしください。